和洋九段女子中学校高等学校

Stories Vol.11

Vol.11 高3 Aさん

-生徒の皆さんへのインタビューを通して、和洋生の成長をお伝えするStoriesは今回で11回目を迎えました。早いもので今回から3周目に入ります。また新しい話が聞けるの楽しみです。今回は先日行われた体育祭で扇委員長を務めた高3のAさんです。
-よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

-今回は「Aさんが小学校生活をどのように送っていたか」から伺おうと思います。

学校が終わったらすぐに公園に遊びに行っていました。友だちとしゃべったり鬼ごっこをしたり、たわいないことでしたけどとても楽しかったです。高学年になるとおしゃべりする場所が近くのショッピングモールの中に変わりましたが、それに飽きると意味もなく自転車で公園めぐりをしていました(笑)。

-小学校の頃ってそういうことで時間を費やせるんですよね。私たちの時代も同じでした。

でも今はあまりそういう子を見かけないんですよね。最近はおうちでゲームしているのかな。

-そうかもしれませんね。もしくは塾で忙しいのかもしれません。
-Aさんが受験勉強を始めたというのはどのような流れからだったんですか?

学校で中学受験をしたのは数えるほどで、自分から中学受験をしたい!と言ったわけではなかったと思います。ただ、通うことになるはずだった公立中学の制服が私にとってはちょっとダサくて、私立中学の方が制服がかわいい!というイメージがあったのが、受験勉強のモチベーションになっていたということはあります(笑)。

-毎日のことですし、制服も学校生活の大事な要素ですよね。
-小学校で中学受験をする人があまりいなかったということですが、モチベーションを保つのが難しかったのではないですか?

はい、気分が乗らない時もありました。そういう時は友だちと塾が始まるギリギリまで遊んでから行くということもありました。

-ちゃんと行ったんですね。偉いです。友だちと一緒にいたら塾をサボろうと思ったりしたこともあったのではないですか?

いや~、サボるという選択肢は浮かばなかったですよ(笑)

-それはすばらしいですね。
-では、少し話題を変えて、塾以外の習い事は何かしていましたか?

私はピアノとダンスを習っていました。ピアノはうまくなりたい、というよりは有名な曲を弾けたらいいな、という思いで習っていて、当時は嵐の曲とかKiroroの「未来へ」とか弾けました。

-ということは中学では合唱コンクールの伴奏もやったことがあるんですか?

はい、中2の時に一度だけ自由曲を伴奏しました。歌に合わせて弾くというのは自信がなくて、自分でやりたかったというわけではなかったんですけど推薦されて弾くことになりました。先生とかクラスメイトが「できるよ」「頑張って」と励ましてくれて、何とか乗り越えられました。

-クラスの温かい雰囲気が伝わってきますね。緊張もよい経験だと思います。
-ダンスはどれくらい習っていたんですか?

地元のダンススクールに通っていて、小3から小6までと高1から今まで習っています。

-ずいぶん長く通っていますね。どんなダンスを習っているんですか?

小3の1年間はジャズダンスを習っていたんですけど、小4からは塾に通い始めて曜日がかぶってしまったので、それ以降はヒップホップダンスを習っていました。高1から今まではガールズヒップホップというジャンルです。

-色々なのがあるんですね。今まで習ってきて、何か思い出はありますか?

年に1回発表会があるんですけど、コロナの影響で高校になってからは一度も行われていません。
昔参加していた頃のビデオを見ることがあるんですけど、自分が一番踊れていると思っていたのか、明らかに調子に乗っている感じがします。全然上手じゃなかったんですけどね…(笑)。
途中からは学校の友だちも一緒に習っていたので、のりも合ったし、踊っていて本当に楽しかったです。
最近は、クラブ活動を引退して、踊る機会が一気に減ったので、週に1回踊るのがよい息抜きになっていますし、自分自身、改めて踊るのが好きなんだな、と感じています。

-そうなんですね。スポーツにはケガがつきものですけど、ケガはなかったんですか?

はい、私は今まで怪我をしたことがないんです。小3の時に一年間ジャズダンスを習っていた時に柔軟をかなりやっていたのが良かったのかな、と思います。間が空いてもすぐに柔軟性が戻りますね。

-しっかり基礎を鍛えていたのが今まで活かされているんですね。何事も基礎基本を大切にしている人は後々伸びると言われますが、ダンスにおいてもそれは同じなんですね。
-では、受験勉強の話に戻りたいのですが、和洋九段を受験した時のことは覚えていますか?

実は私はインフルエンザ入試を受けて入学したんです。2月1日にインフルエンザになってしまって、他の学校は病気の子だけを集めて受ける部屋があってその日にしか受けられなくて、残念な結果になってしまいました…。和洋にはインフルエンザになってしまった時に後から受けられる入試があったので、7日に1人で受験しました。

-そんなことがあったんですか。大変な受験だったんですね…。
-では、入学後のことを聞いていきましょう。何か思い出はありますか?

入学式で1人ずつ名札を付けて教室に案内されたんですけど、ちょうど一緒のタイミングで教室に入った子とは今も仲良しなんです。

-教室に入るタイミングはたまたま一緒だったわけですよね。そんな偶然が友情に繋がって、しかも高3になった今でも続いているなんて、すてきですね。
-Aさんは中学時代と比べて成績が格段に向上したということですが、何がきっかけだったんですか?

私たちの学年までは特進クラスというのがあって、高校から成績上位の人がそのクラスに集まりました。中学までは私は真ん中くらいで一般クラスに入ったんですけど、初めての中間テストの前に、一般クラスの中で誰が上位になるか、みたいな話になって、その時に誰かが「Aさんじゃない?」と言って私の名前があがったんです。それまでは自分がそんなふうに思われるとは考えたこともなかったんですけど、「言われたからには頑張ってみるか」と思ったのがきっかけです。勉強の仕方をそれまではプリントとか教科書を覚えて満足する、といった勉強法だったんですけど、高1からは書いて覚えるようにしたり、先生が授業中に言ったことをメモを取ったりするようになりました。何回も言っていることは「ここはテストに出そうだな」と思えるようになったし、テスト対策をしっかりするようになって成績が上がりました。でも学業賞は取れなくて、それは結構悔しかったです。

-でも、そこまでのレベルに到達するのはすごいことですよ。
-Aさんは負けず嫌いなんですか?

そうですね。小学校の頃は全然そんなことはなかったんですけど、たぶん和洋でダンス部に入って、中学の頃は選ばれた人しかステージに立てないので、そういう中でできてきたのかなと思います。

-なるほど。そういうところから生まれたんですね。
-何か他に力が伸びていく要素になったことはありますか?

コロナでオンライン授業になっていた頃は、スキマ時間をとにかく有効に使おうとしていました。オンライン授業の時は40分授業だったので、休み時間が20分間ありました。その時間を使って授業で出た課題は全部終わらせて、できれば復習もそこでして、という形でずっと椅子に座り続けている時間を過ごしました。

-すごいですね。疲れなかったですか?

疲れはなかったですね。一度休んでしまうとできないと思っていたので…。試験勉強も休まないでやるんです。だから、あまり疲れるということはないです。

-そういう意味でも体力があるんですね。椅子に座り続けられるというのは小さい頃からそうだったんですか?

いえ、全然違いますね。小学校の頃はあまり勉強が好きじゃなかったので、やれと言われた時にやるだけで、今考えると不真面目だったなと思います。中学の頃は椅子に座って勉強することが少なくって、床でするとか、ずっとうろちょろしている感じでした。

-そんなAさんが変化できたのが「友だちからの順位予想」だったのがおもしろいですね。
-他に、学力向上のきっかけになったものはありますか?

実は中3の頃から先生としゃべる時間がすごく増えました。わからないことがあったらすぐに質問しに行ってましたし、しょっちゅう職員室に行っていました。先生が聞きたいことにちゃんと答えてくれる、ということがわかって、何でも聞ける関係になっていたのが大きいと思います。

-そういう関係性が学力の向上に繋がっていくというのがよいですね。
-勉強以外の学校生活はどうでしたか?

とにかく私は部活をしに学校に行っている感じで、学校生活のほとんどを部活のために費やしていました。

-そんな感じなのは伝わってきますね(笑)
-日本テレビの「ダンスONEプロジェクト」にも参加しましたが、これはどのようないきさつから参加することになったんですか?

父とテレビを見ている時にちょうど初めての告知がされていて、「これ、出てみるといいんじゃない?」と父が言ってくれました。でも、和洋だとテレビに出るのは難しいんじゃない?と話していたら後輩からも連絡が来て。じゃあとりあえず聞いてみようかということになって顧問の先生に相談してみて…。それで校長先生に伺ったら「ぜひどうぞ」と言ってもらえて、参加できることになりました。

-そうなんですね。数年前から、生徒のチャレンジしたいという気持ちは大切にしていきたいよね、という流れが先生方にはできていたのですが、それが生徒の皆さんのチャレンジを後押しできているなら嬉しいですね。皆さんのチャレンジによって、和洋九段の新たなイメージというものができたのではないかと思いますよ。
-OKをもらった後はどういうふうに動いていったんですか?

その頃はコロナ禍でクラブ活動もかなり制限されていたので、各自でYoutubeを見ながら決められたダンスを覚えてきてもらいました。フリーの部分は当時、私たちは文化祭のダンスの振りも考えているところだったので、私たちが中途半端に考えるより後輩に考えてもらった方がいいんじゃない?ということになって、後輩に任せることにしました。それが後輩の成長に繋がるといいな、という思いもありましたね。

-なるほど。これは皆さんの器の大きさを感じますね。こういう目立つことって、自分たちでやりたい!となりそうなものですが、それを後輩の成長を願いながら任せることができるというのがすごいと思います。しかも後輩たちがそれにしっかりと応えることができてあのダンスができあがったんですか。すばらしいですね。お互いに信頼関係ができあがっているように感じます。

中学時代から一番近い存在の後輩だったので、知らない間にそういう関係ができていたのかもしれません。

-部活も勉強も頑張っている先輩の姿を見て「自分もそういう風になりたい」と思って頑張っている後輩もいるようですし、Aさんは憧れの存在でもあるのでしょうね。Aさん自身の頑張りが他の人にも影響を与えているのですから、とても輝いているのだと思います。

私たちの学年のダンス部はみんなが「部活のために!」みたいな感じだったので、本撮りをするギリギリまでスキマ時間を使って練習をして、少しでもよいものにしようと頑張っていました。

-その原動力はどのように生まれるんですか?

部活の先輩たちから「あなたたちならもっと上に行けるよ」と言われ続けていたことがいい意味でのプレッシャーになっていたんだと思います。期待に応えたい、みたいな…。

-それを力に変えられているのがすてきですね。
-ご家族もAさんの成長を実感されていることでしょうね。

はい、母は、部活動とか扇の舞などの学校生活を通して、協働性が身についたり主体的に動けるようになったところが成長だね、と言ってくれています。

-それは大きな成長ですね。ご家族も見ていて頼もしく感じていることでしょう。
-ではいよいよ、先輩方からの思いを受け取った皆さんがどのようにして和洋九段の伝統ある「扇の舞」に挑戦していったかについて聞いていきたいと思います。

はい。扇の舞は楽曲選びから振り付け、隊形まで全て私たちが先生にアドバイスを仰ぎながら考えて、教えるのも生徒なんですけど、その中心となる扇委員が高2の2学期に決まりました。その頃もいつオンライン授業になるかわからない状態だったので、すぐに振りを決めて、1人ずつ動画を撮って解説動画を作って全員のタブレットに入れてもらいました。

-それをみんなが見て覚えてくる形になったんですね。

そうなんです。3学期はほとんどがオンライン授業になってしまったので、私たちのプランとしては全員が覚えてきて、4月から振りを合わせるつもりだったんですけど、4月になってみたらほとんど覚えられていなかったんです…。
だから、もう一度はじめから教えることになりました。

-それは残念でしたね…。「なんで覚えてこなかったの!」とはならなかったですか?

ならなかったですね。ダンスをそんなにやってない人が動画だけで覚えてくるのは厳しいんじゃないかな、とも思っていたので…。

-そこから2か月ほどで仕上げる必要が出てきたんですね。かなりのプレッシャーがあったでしょうね。

扇が終わった後にダンス部で振り返った時には、ほとんどの人がもっと完璧にできたんじゃないかという思いでした。だから、もしできるならもう一度やりたいくらいです。自分が責任者としてもうちょっとできたな、と反省することもあります。

-見ている側からすると、とても感動するすばらしい舞だったと思いますよ。今までの伝統的な要素もしっかり入っていて、革新的な内容も含まれていて、後輩に対するメッセージみたいなものも感じました。

その部分は、扇委員で話した中で一番はじめに出てきたコンセプトだったので、伝わっていたのなら嬉しいです。

-十分に伝わったと思いますよ。
-もう一つ聞いてもいいですか?舞を踊る前、会場の皆さんに向かってAさんがご挨拶をしましたよね。その時、笑顔で話している姿がとても印象的だったんですけど、その時の思いはどんな感じだったんですか?

前日のリハーサルの時は、感極まってというのと緊張とで詰まってしまいそうになったんですけど、当日は緊張を超えて、「できる!」と思って臨んでいたので、心の内からの笑顔だったんだと思います。あまり人前で発表することもなかったですし、真剣に読むという機会もなかったので、自分らしく、というのを意識していたのが笑顔に出たのかな、と思います。

-伝わってきましたよ。本当に自分たちの「今」を届けたいんだ、という思いがあふれた笑顔だったのでしょうね。
-学年全体をまとめる立場として見えていたものはどんなものでしたか?

クラスごとに教えるというのが第一段階なんですけど、はじめはリズムを取ることも難しかった子が踊れるようになっているのを見た時は感動しました。運動が得意ではない子が足にテーピングをしてまで練習してくれているところを見た時は、同級生目線ではなくて、親目線で「頑張ってる~」と思ってしまいました(笑)。
あと、扇委員の存在はとても大きかったです。前日のテープ張りが時間どおりにうまくいかなくて落ち込んでいた時に「大丈夫?」と言ってきてくれた委員がいて、その時にも「ありがたいな」と感じました。8人のメンバーはそれぞれが自分を持っているんですけどセーブできる子たちで、1回もケンカせずに過ごせましたし、それぞれが持っている意見を吸収し合えたので、とてもよいメンバーでした。
私は結構言ってしまう方なので、そんな私についてきてくれたことへのありがたさを感じますし、「自分が考えていることとは違うな」と思った時にも「こうしたらいいんじゃない?」みたいな感じで話し合いができたので、ぶつからずに済んだのかもしれません。

-いい関係性が結べたんですね。扇の舞に関するとてもよい話を聞けました。ありがとうございます。
-では、最後に後輩の皆さんと受験生へのメッセージをお願いします。

後輩に向けては、「頑張ることで全てが変わる。だから頑張って!」ですね。成果が出ない時もあるし、なるようにしかならないんですけど、「頑張る」ということは意味があると思います。
私は感覚的に生きてきた部分が多いので、受験生に向けては「自分の感覚を信じて!やりたいことが何かにつながっていくから、やりたいことをやる勇気を持って!」と言いたいです。やろうと思えば何でもできることを伝えたいですね。

-和洋生の集大成である「扇の舞」について深く知るとともに、Aさんの成長についてもたくさんお話をうかがうことができました。ありがとうございました!

【X先生からのAさんについてのコメント】
Aさんは抜群の状況判断力の持ち主です。先んじてものを考えることができ、良い意味で自分をしっかり持っているので、友達だとしたら一番信頼できる存在だと思います。
チャレンジ精神も旺盛で、発言に無駄がなく、具体的に的確な指示を出すことができるので、どうすればよいのか非常にわかりやすいです。時に厳しいことも言いますが、その裏には必ずメッセージが潜んでいて、目標に向けて自他共に努力を惜しまない姿勢を貫いています。
また、向上心があり、時間を無駄せず、納得のいくまで妥協することなく学習に取り組む姿勢がとても頼もしいですね。

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